Spring Greens
- (続)理想の英語化計画 -
「学びの段階における英語の伸ばし方」




3.読み&書きへのつなげかた


今回の続編は、読み書きが出来るお子さんを対象に書いたものですが、一応、読み書きは基本ということで、さらっと復習しておきます。ですから、一部前回の正編ともオーバーラップはありますのでご容赦ください。


(1)Whole language 法 vs Phonics法

欧米でのreading教授法として、二つの教授法が一般的に用いられています。専門家ではないので詳細は触れませんが、理想的には、whole language法で大量の英文に触れることにより自然に読みを体得するのが良いようですが、子供によっては流暢さを犠牲にして正確さを欠くという批判もあり、効率的な英語の獲得の仕方として、この二つをバランスよく教えるという方法が現在では主流のようです。

(参考文献:The Between The Lions Book For Parents


(2)フォニックス読み

最近は、日本でもフォニックス熱が高まっていて、とにかくまず「フォニックス」という風潮が時に気になることがあります。フォニックスの導入に際しては、(1) その前にしっかりと英語の音が頭にインプットされていること(LとR、BとV、SとShの区別がつかないようではフォニックスをやっていても片手落ちです)、(2)フォニックスの学習の前に、ある程度のサイトワードがあること(数語、ではなく、数十語単位で)、(3) 英語を聞いて分かる聴解力が育っていること、が必須だと思います。フォニックスで字面だけ読めるようになったけれど、その読めた文章の意味がわからない、というのでは、子供のmotivationも下がってしまいます。

フォニックス教育で有名な松香洋子先生も、pre-phonicsの段階として、英語の文字をまったく見せずに、英語の音を徹底的にインプットして、口から出させるステージが必要ということを御著書のなかで書いておられます。

そして、フォニックスは小さいうち(幼児)はアブクド読みで十分だと思います。アブクド読みは2歳後半くらいから導入可能ですが、2文字のフォニックスはもう少し年齢が上がってからですね。アブクド読みのための教材はMy Best English (DVD)、Rock’n alphabetを持っていますが、どちらかというとBGMもきれいで落ち着いた映像の前者がお勧めです。年長くらいになれば、ある程度規則性も頭に入ると思うので、年中以下では、まずはMy Best English(DVD)で軽く触れる、くらいの気持ちでいいのではないでしょうか?

▼My Best English
http://www.mybestenglish.net/ja/mbe.html

また、このレベル(アブクド読み、もしくは最初の音の認識レベル)だと、日本でも本当にたくさんの教材があふれています。native向けでなくても、市販のカードやワークでも十分ですし、こんな楽しいサイトも探せばたくさんあります。

▼Childparentingのサイトより
http://www.kiddonet.com/gb/flash/phonics/Intro.html

▼有名なStarfall
http://www.starfall.com/
(これが無料とは信じられないほどです!)いくつかのレベル別になっています。

欧米でも小学校にあがるくらいになると、かなりintensiveにフォニックスを習うようです。2字、3字とつながったフォニックスなど、スペリングの練習とともに覚えていきます。これも、大量の英語に触れることによりある程度自然に獲得できる面もありますが、小学生に上がる頃にはワークにより補強するのが一般的だと思います。また、2文字、3文字のフォニックスの補強にはNHK教育の「ライオンたちとイングリッシュ(Between the Lions)」が、大変良く出来ていると思います。英語で見せるのがベストですが、ポイントだけつかみたいなら日本語でも十分です。

▼ライオンたちとイングリッシュ
http://www.nhk.or.jp/lions/

ワークとしては、我が家ではSpectrumのPhonics(後述)を使いましたが、Jumpstart Jumbo workbookなど一般的なワークにももちろん含まれています。(理想の〜本編のワーク参照)

また、児童英語研究所のフォニックスドリル、CliffordのPhonics Fun (boxed set)などを利用するのもよいようです。後者は、教材なのに、意外と面白くできているという話です。

▼フォニックスドリル:1年間毎日取り組むようにできているので、根気のある人むけ。
http://www.palkids.co.jp/x/modules/e2/index.php?id=7

▼Clifford Phonics Fun:CDつきもあるようです。全6セット。文章のボリュームは結構あります。
Clifford the Big Red Dog Phonics Fun


(3)サイトワードを増やす

特に小さい子は単語を見たまま図形的(象形的)に丸覚えすることによって読めるようになってきます。3歳前後で読めるようになる場合は、フォニックスというより丸覚えにより、単語をパターンとして認識していると思います。ですから、目にたくさん触れさせて、「丸覚え」の単語をパターンとして増やしてやります。サイトワードの増やし方としては、(1)リタや絵本の読み聞かせなどでたくさん単語を目にする、(2)カード(TAC、フラッシュなど)、(3)ORTやSight Word Readers (SWR)など文型のパターンの決まった教材で同じ語句を繰り返し目にする、(4)直接的にサイトワードドリル(パルキッズキンダー付属、あるいは児童英語研究所のキャンペーン商品のConcept words, Basic wordsなどの教材)を使う、などの方法があり、どれも有効と思います。

手元にあるnative向けの参考文献では、100 frequency wordsを読めるようになれば、大人向けの本でも50%の単語は読めるし、子供向けならなおさらもっと読めるようになる、と書かれています。とりあえずは、このあたりをサイトワード獲得の目標とするのがよいと思います。

▼Sight Word Readers:25冊のとても簡単な本。簡単なので面白みはありませんが、50語のサイトワードに親しめるつくりになっています。
Sight Word Readers Parent Pack: 25 Easy-to-Read Storybooks With Parent Tips and Mini-Workbook


♪ お子さんによって、文字への関心というのはずいぶん違うようなので一概には言えないと思いますが、2人の子供を日英で育てた経験から、(1)アルファベットのほうが簡単で数も少ないので、まずアルファベットを覚える。ABC songの存在も大きいと思います。(2)その次に、ひらがなの読みを覚える。(3) そして、周りにあるひらがなを拾い上げて自発的に読み始める頃、英語の文字を「塊」として認識することができるようになる、、、、、そういう順番があるように思います。つまり、周囲のひらがなをたどたどしく読み始める頃にサイトワードを増やす試みをしてやるのが時期的にはちょうどいいくらいかな、という気がします。あせって、それより早くに子供にサイトワードを押し付けるのは逆効果のように思います。


(4)読みの順序

i) 最初に「本(ページ)特異的」に読めるようになります。たとえば、リタの本のxxページの単語をLookと読めるが、他の本で出てきたときには同じ単語でもよくわからないような場合。

ii) その次には、「書体特異的に」読めるようになります。ゴシックだとさまざまな本において読めるけれど、Timesやイタリックになっていると読めない、、、などなど。こういう過程を経て、だいたいいつでも読めるようになっていきます。

iii) 読みはじめには「最初の文字」が基本です。最初の文字が読めるようになると、かなり類推で読むことができます。その次が「最後の文字」です。その次が真ん中の子音。最初にこない母音の認識はかなり遅れます。ですから、まず最初の文字のアブクド読みを徹底的に教えること。アメリカの幼稚園の先生は、常に「A for apple, B for baby,,,,,」という教え方をしていました。

iv) 次に「最後の子音」です。通常、子音の音を聞いてスペリングを書くというのは、nativeでもpreschoolくらいからkindergarten (4-6歳)くらいで勉強します。息子もladybugをledibgと書いていた時期がありました。子音の音をこの時期にきっちり押さえることがまず大切になります。

v) 最後に「母音」です。Nativeでも母音のスペリングの完成はGrade2くらいが平均であるとのこと。母音は多くの読み方がありますし、二重母音などの特殊な読みがあるので、このきちんとした理解はnativeでも小学校に上がってから、ということを理解しておくといいと思います。


♪♪ 英語のスペリングは日本語とまったく異なるので、息子が英語の単語の読みを覚えていくときは驚きの連続でした。最初の音が重要だということも、それまで私は知りませんでした。息子がまだ3歳になるかならないかの読めない時期に、最初の音でいろいろな単語を類推しているのに気が付いたのは、息子がPleaseという単語を見てPunishmentと読んだり(どうも、Pがついていて、かつ長いという理由で)、bookをlookと間違えるのでなく、boyやballと間違えたりしたことからです。


(5)「読みの導入」に役立つ教材

息子の場合、周囲の環境により自然に読めるようになったので、いまひとつ読み始めの実感がなかったのですが、娘の場合は、明らかにリタからストーリーテラーやORTへ移行して、「自力で」読むということが少しずつできるようになってきた感じがします。

ORTは文章の難易度や語彙が非常にコントロールされていて、同じレベルでは同じような言い回しが繰り返しでてくるので、より「自力で」読みやすくなっています。このステップを踏むことが非常に効果あったと実感できました。ORTでは、stage1で、単語の存在に上手に「気づかせる」ように出来ていると思います。ただし、stage2では、さまざまな単語が多数でてくるので、低年齢ではじめるときはstage1とstage2の間にはじめてのセンテンスのパック(stage 1+)を入れるのがいいのではないかと思います。はじめてのセンテンスパック(Stage 1+)は、使用頻度の高いサイトワードがいろいろな状況で繰り返し出てくるので、とても身に付きやすく、また絵も楽しいので、自分で続きを読もうという気にさせてくれます。確かにFirst sentenceにはぴったりの本です。


♪ リタラシーリンクスのセットDからストーリーテラーのセットEは、一般的に言われているように少し難易度で戻るように感じられます。つまり、リタのセットDは、かなり長いのですが、STの最初は簡単な文章(リタのBあたり)ばかりの本がまじっています。リタのBあたりから文字を意識し始めた娘ですが、Dの暗唱をやっていたときは、長いので字面など追っていませんでした。ところが、STにはいって、文章が簡単になって、再び、文字に目が行くようになったのです。このあたりに微妙な戻り具合が良かったように思います。また、話はそれますが、STは仕掛け絵本が多く、またリタよりも文字や単語を意識させる作りになっているので、楽しみながらreadingへともっていくのにはピッタリだ思います。

娘の場合、時期的にORTを購入したときすでに、ST level Eが終わりかけていました(つまり、120冊ほど暗唱していた)。はじめORTのスペシャルパックをあけて、何気なくstage2の本を手にとったとき、”Oh, no!”, said Dad.という文章を初見で読んでくれたときにちょっとびっくりしました。リタ+STで大量に触れた単語や言い回しとよく似た組み合わせがORTで出てきたので、自然にそういう文章は初見でも読めるようになっていたのだな、と感心しました。そういう経験からも、リタ(ST)からORTへ進むメリットというのを感じました。また、ORTで「自力で何とか読んでみよう」という姿勢が少し芽生えた娘は、STの暗唱をするときにも、ずいぶん文字を見ている頻度が上がってきました。両者の相乗効果を感じます。


(6)Writingの導入とinvention

Writingは4技能の中では一番後回しでもいいと思いますが、興味を持つ方のために、ここに記しておきます。

子供がWritingが出来るようになるには、(1) 自分の頭の中で英語を組み立てられる (英語がきちんとしゃべれる) (2) きちんとしたスペリングが書ける、という必要があります。

ですから、英語がある程度しゃべれる子供さんでしたら、スペリングを教えるだけで、簡単に(文法的に正確かどうかは別として)書くことができます。

小さい子供へのスペリングの導入として下に”invention”の方法を記します。

これは、アメリカのkindergartenなどで取り入れられているスペリングの導入法らしいです。私自身が、専門の先生にお聞きしました。このやり方では、まず音を聞いて、スペリングを類推していく、という作業を子供にやらせます。書かせた単語が間違っていても、さりげなく指摘するにとどめて、とにかく、類推する、という作業をやらせます。ポイントは教え込まないこと!「BookはB,O,O,Kよ」と教えても、子供には覚えられません。それより、「どんな音が聞こえたかな?」「BとKが聞こえた、、、、」「じゃあ真ん中は?」と言って誘導し、子供がBukと書けたらほめてやります。そして、「この場合はBookなんだよね」などとさりげなく教えます。

小さい子には、単語だけ書く作業は負担なので、いろいろな絵を描かせて、そこに名前をつけていく作業をさせることにより、さりげなくwritingの導入をさせます。

そのトレーニングのためには、最低限、(1)英語の音がしっかり頭に入っていて、聞き取る耳ができる、(2)アブクド読みくらいのフォニックスの知識がしみこんでいる、必要があります。最初はとっつきにくいようですが、1年くらいすると、自分で発音してみてスペリングを類推して書き出せるようになるのが不思議です。

また、我が家では、TACを使ったinventionもやりました。TACのカードを見せずに 親がカードリーダーに通して発音を聞かせます。そして、スペリングのあてっこゲームをします。こうして、10個あっていたらご褒美をあげる、というような具合でやっていきます。


(7)フォニックスとwriting

息子は、whole language法で読みを体得してしまったので、フォニックスは本当にきちんと教えたことはありませんでした。が、不思議なことに、自然と読みのためのphonicsを体得していました。さらに、4-5歳にかけて、すごく文字を書きたがった時期に、さらっとフォニックスを教えてみました。すると、ある単語のスペリングを書くときに、自分で発音をしてみて、その音をinventionして書けるようになりました。フォニックスはある程度「書き」にも役に立つんだな、と実感しました。


(8)writingの効用

上で、writingについては、4技能の最後でかまわない、小学生のうちはそれほど力を注がなくてもかまわない、と書きましたが、以前、掲示板でお話させていただいた中で、ある経験の豊富な方が、「不思議なことにライティングをやることで文の構造への理解が深まり(教え込んでいるわけではないのに、です)、、、、」とお書きになっていたことを、付け加えたいと思います。私も本当にこれを実感しています。息子が、日記や手紙、あるいは、英語クラスの宿題といった形で、自分で文章を書きなぐるようになってから、スペリングだけでなく、自然に「過去形」「複数形」、大文字を使う場所、さまざまな要素を意識するようになりました。こうした文法事項への意識もwritingを進めることである程度可能なのではないか、と思います。

そして、年齢が大きくなればなるほど、writingを利用した英語の獲得は効果があるのではないでしょうか?writingをする、というのは、脳の中の別の回路を働かせているわけですので、有る意味、忘れにくくさせる、という要素もあると思います。そして、writingは、年齢を経るにしたがって、英語獲得のための重要なツールになることを考えれば、まったくwritingを導入しないのでなく、将来に備えて準備しておく、くらいの気持ちで少しずつ始めておいたほうがいいかもしれません。


(9)読みの導入から多読へ(その1):reading 絵本の出番

なんとなく読めるようになってきてから1年くらいの間は、私の英語に関しての意識が高くなかったので、敢えて息子用にreading 絵本(いわゆるgraded readersなど)を購入したりしませんでした。ただ、家には大量に名作絵本がありましたが、通常、名作絵本は基本的には「読み聞かせ」を前提にしているので、活字が小さかったり、レベル的に難しかったり、で、必ずしも読みの導入にはお勧めできません。

やはり、読みを上手に導入してくれるという目的には、市販のreading絵本は非常に有用だと思います。少し簡単すぎるくらいのレベルをこの時期大量に読むことで、次の多読へとつながる読解力が養われます。特に、ORT, LLL (Longman Literacy Land Story Street)などは評判も高く、とても良いreading導入用の教材だと思います。

ORT, LLLなどで読みの導入に入った後は、いったん、幼児向けの名作絵本に戻るということも可能ですし、あるいは、もうしばらく、reading用のgraded readersの本で力をつけるのも効率的だと思います。

詳しくは、後述の多読用のブックガイド、ないしは、SSSのこの網羅的なweb siteを参考にしてください。
http://www.seg.co.jp/sss/review/osusume.html


♪♪ 息子が読めていたのにもかかわらず、あまり関心のなかった私ですが、DWEを購入したあと(これは娘のために購入したのでしたが)、息子が夢中になってしまい、TACで遊び、テキストを読み込み、それに引き続き、怒涛の読書が始まったときには、さすがに舞い上がってしまいました。そこではじめて、教材の有用性に気づき、手当たり次第に買い漁り始めたのが猛教病の最初です(爆)。

DWEに飽きた後、教材系のものとしては、少し簡単ではありましたが、CTP level 1 & 2を1日に何冊も読みました。その後は、ORTにはまり、最初はstage6まで、そして3ヶ月後にstage9まで一気読みです。さらに、OxfordやLadybirdから出ているレベル別のreading絵本もかなり買いました。このあたりからは、通常の絵本(Curious Georgeなど)を読めるようになってきたので、家にたくさんあった名作絵本の出番でした。こうして、たくさんのreading絵本で初期の読みの力を蓄えて、名作絵本を読める力を養い、次の段階、「多読」へと移行していきました。


(10)読みの導入から多読へ(その2):音読から黙読への注意点

i) 少なくともchapter bookを「ほぼ完全にストーリーを理解して読んでいる」と思えるまでは、確認のため、読み聞かせや音読の時間を設ける。親子で1ページずつ交互に音読したり、音読させたあと、簡単に質問したりして、内容の理解度をはかる。

ii) 1冊読み終えることができたら、シールを、そして、シールがたまったら何かご褒美を、というような具合に、子供の達成感をくすぐりつつ、毎日コンスタントに読むような習慣をつける。

iii) 多読だけでは養えない能力を養成するために、語彙の獲得と定着、慣用句や言い回しなどを覚えるための短文の補強(ワークや参考書などを利用する)を図る。

iv) 日本語の読みが英語よりずいぶん進んでいれば、読みに対するスタミナ(長時間字を読んでも疲れない、集中して読書できる)を、まず日本語で養う。

こういったことを念頭にいれて、多読へと移行すると良いと思います。


♪♪ うちは、兄妹とも読書が好きなので、本に親しませるということに関しては困ったことがないのですが、それでも、自分で最後まで読みきるというのは、小さい頃はかなりの努力を要するものと思われます。息子が5-6歳にかけて音読したものに関して、シールをはりつつ毎日読書ノートをつけていましたが、とても良い思い出になると同時に、成長ぶりが手に取るようにわかり、親子ともどもよかったと思います。



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